ウォッシュド?ナチュラル?コーヒーの精製方法と味の違いを解説!

date
2023.04.07

コーヒーの専門店にいくと、コーヒー豆の名前や説明の部分に「ナチュラル」や「ウォッシュド」と書いてあるのを見たことはありませんか。これは、コーヒー豆を精製する際のプロセスの名称で、このプロセスの違いによって、その後のコーヒ […]

比較してみた

コーヒーの専門店にいくと、コーヒー豆の名前や説明の部分に「ナチュラル」や「ウォッシュド」と書いてあるのを見たことはありませんか。これは、コーヒー豆を精製する際のプロセスの名称で、このプロセスの違いによって、その後のコーヒーの味は大きく変わってきます。精製方法によってそれぞれ味に特徴があるので、その違いを覚えておくとコーヒー屋さんで豆を選ぶ際の参考になるかもしれません。

 

コーヒーの精製方法(プロセス)って?

コーヒー豆は、厳密にはコーヒーの木になる果実の種になります。コーヒーの木になった実(コーヒーチェリー)は収穫された後、周りの果肉を取り除き種子(コーヒー豆)を取り出します。この収穫後に行われる一連の生産処理をプロセスと呼びます。この精製方法は地域や農園によって様々な方法がありますが、同じ豆でも精製方法が違うと全く異なる味になることから、コーヒーの味を決める重要なファクターとなっています。

 

2大精製方法!ウォッシュドプロセス・ナチュラルプロセス

コーヒー豆の精製方法は多岐に渡りますが、大きく分けるとウォッシュドプロセス(水洗式)とナチュラルプロセス(乾燥式)というのがメジャーな精製方法になります。それぞれの精製方法を簡単に解説していきます。

 

・ウォッシュドプロセス

ウォッシュドプロセスは日本語では水洗式と呼ばれ、コーヒーの実の果肉部分を最初に除去した後、水を使って洗い上げてから乾燥させます。コーヒーの豆の周りには皮や果肉だけでなく、ミューシレージと呼ばれるヌメヌメとした薄皮のようなものもあり、そういったものも水を使って綺麗に除去していきます。大量の水を使用するため、水資源が豊富な地域で使用されることが多いプロセスになります。

また、精製する段階で品質の悪い豆や未熟の豆を比較的容易に選別することができるため、失敗の少ないプロセスともいわれています。一方で、ウォッシュドプロセスを行うための設備は非常にお金がかかるため初期投資が大きく、価格が安定しないコーヒー業界では農家の大きな負担になっている場合もあります。

 

ウォッシュドプロセスの味は?:

ウォッシュドプロセスはきちんと豆を洗い上げてから天日干しさせるため、比較的透き通ったクリーンな味わいになります。より繊細で複雑なフレーバーを感じ取りやすく、すっきりとした味わいが特徴です。レモンやオレンジなど柑橘系の爽やかな酸味や、トロピカルフルーツやネクタリンのような鮮やかな甘酸っぱさを感じられるものが多いです。

 

・ナチュラルプロセス

ナチュラルプロセスは、ウォッシュドプロセスと違い豆の周りに果肉が付いたまま、つまりコーヒーチェリーの状態で先に乾燥を行います。専用の乾燥棚やパティオ、建物の屋上などを使用し、2週間~1ヶ月以上かけて乾燥させます。乾燥後に周りの皮や果実を取り除くハリングという作業を行い、コーヒーの豆を取り出します。

ナチュラルプロセスは水資源の少ないエリアで伝統的に行われてきた製法です。しっかりと晴天の日が続かなくてはいけないため、雨の多い地域では難しく、簡単ながらもリスクの高い精製方法になります。また、カビが生えないように定期的に乾燥させているチェリーをかき混ぜなくてはいけないなど、徹底した管理体制が必要です。

 

ナチュラルプロセスの味は?:

ナチュラルプロセスは果肉をつけた状態で発酵・乾燥させるため、コーヒーチェリーがもつ糖分や香りが豆に移り、独特なフルーツ感や甘みが生まれます。軽めの赤ワインやコンブチャにも似た発酵感があり、その個性に魅了される人が多いプロセスです。ウォッシュドプロセスに比べると、よりしっかりとした甘みやボディー感が感じられるものが多いのが特徴です。ブルーベリーやストロベリーといったベリー系の甘みやコクはもちろん、しっかりとしたフルーツ感や甘い香りが感じられやすいのもナチュラルプロセスの特徴です。

 

ウォッシュドとナチュラル以外にもプロセスはたくさん!

実はコーヒーの精製方法には、2大精製方法でもあるウォッシュドプロセスとナチュラルプロセス以外にも多くの方法があります。それだけ精製方法がコーヒーの味に与える影響が大きいということです。コーヒー農家ではこの精製方法を工夫して、自分たちの農園で育てている豆にあった精製方法を見つけるだけでなく、独自の精製方法を確立して、他のコーヒー豆との差別化を図る動きもあります。いくつか、代表的なプロセスを紹介していきます。

 

・ハニープロセス(パルプドナチュラル)

ハニープロセスは、しっかりと果肉を取り除いてから乾燥させるウォッシュドと果肉をつけたまま乾燥させるナチュラルの中間的な立ち位置に当たる精製方法です。ウォッシュドプロセスでは、コーヒーチェリーを専用の機械にかけて表面の果肉を取り除いた後、別のタンクに移しその内側にあるミューシレージと呼ばれる甘皮のようなものもしっかりと取り除く、2段階の洗浄を行っています。

ハニープロセスではこのミューシレージ部分は残したまま発酵・乾燥のプロセスを行います。このミューシレージの除去率によって、さらにイエローハニープロセス・レッドハニープロセス・ブラックハニープロセスと細分化されていきます。味は、ウォッシュドよりは強く甘みやコクが感じられるものの、ナチュラルほどクセはないという、バランスが取れた仕上がりになります。

 

・アナエロビック・ファーメンテーション(嫌気性発酵)

科学技術の発展とともに、近年になって出てきた新しいプロセスです。特殊な発酵槽に水とコーヒー豆を入れて無酸素状態を作り出し、コーヒー豆を発酵させます。日本語では嫌気性発酵と呼ばれるように、「酸素がない状態」にすることがポイントで、無酸素状態でのみ活性化する嫌気性酵母の活動により、今までにはないフレーバーのコーヒーを作ることができます。しかし、設備にお金がかかるのと発酵過程の管理が難しいため、今はまだ安定して大量に精製することが難しいプロセスでもあります。

 

ナチュラルとウォッシュド、どっちが人気?

ナチュラルプロセスとウォッシュドプロセス、どちらがおすすめかは一概には言えません。以前は、すっきりとしたクリアな味わいのウォッシュドの豆が人気がありましたが、ナチュラルプロセスの独特な甘みや香りに魅了される人が近年は増えています。ナチュラルプロセスは発酵時のリスクが高く生産量が少ないことから、価格が高騰気味になっています。どちらが口に合うかは好みによるところが多いので、ぜひ実際に飲んで体験してみてください。

 

飲み比べてお気に入りを見つけよう!

ウォッシュドとナチュラル、それぞれどんな仕上がりになるのかはなんとなくイメージできたかと思いますが、その味をしっかりと捉えるにはやはり実際に飲んでみるのがオススメです。スペシャリティーコーヒーや専門店などにいけば、色々な製法のコーヒーを実際にお店で飲むことができます。また、最近はオンラインでも簡単に珍しいプロセスのコーヒー豆が手に入るようになってきたので、自宅で淹れて飲み比べてみてもいいかもしれません。ぜひ、実際に飲んで自分のお気に入りのプロセスを見つけてみてください。