コーヒーのニューウェーブ!中国のコーヒー「雲南コーヒー」について解説

date
2023.03.29

雲南コーヒーは、近年急速に知名度を上げてきている中国雲南省が原産のコーヒーです。そのクオリティーの高さから、スペシャリティーコーヒー業界でも人気が出てきており、日本のカフェやコーヒー専門店でも目にする機会が増えてきました […]

雲南コーヒーは、近年急速に知名度を上げてきている中国雲南省が原産のコーヒーです。そのクオリティーの高さから、スペシャリティーコーヒー業界でも人気が出てきており、日本のカフェやコーヒー専門店でも目にする機会が増えてきました。中国といえば以前は「お茶の国」というイメージが強かったかもしれませんが、現在は新しいコーヒーの産地としても注目されています。

 

雲南コーヒーとは?中国随一のコーヒーの産地

雲南(うんなん)コーヒーは中国の雲南省にて栽培・精製されたコーヒーを指します。雲南省は中国の西南部に位置し、ミャンマーやラオスと国境を接しています。コーヒー栽培に適した気候であるとされる赤道を中心としたエリア、いわゆる「コーヒーベルト」内に位置しています。雲南省はもともと茶葉の栽培で栄えたエリアで、プーアール茶の産地でもあります。現在は、茶葉の栽培と合わせてコーヒーの栽培も盛んになってきており、中国におけるコーヒー栽培の95%はこの雲南省で行われています。

 

中国雲南省ってどんなところ?

雲南省は中国の西南部にある省の一つで、多くの少数民族がいることでも知られています。中国でも比較的南側に位置することから年中春のような穏やかな気候で、中国国内では観光地としても人気があります。面積は約39万㎢なので、38万㎢ほどしかない日本とほぼ同じ広さの州になります。お茶やコーヒーの他にも煙草やハーブなど多くの特産品があります。

 

雲南コーヒーの歴史

中国でコーヒーの栽培が始まったのは、実はごく最近で、中国コーヒーの歴史はさほど深くはありません。その始まりは20世紀初頭で、政府の主導のもとコーヒー事業が開始されました。その後、政府主導で始まったコーヒー事業は民間企業に引き継がれ、拡大の一途を辿ります。

その中でも雲南省がコーヒーの栽培に本格的に乗り出したのは、20世紀の終わり頃とされています。1988年に、ネスレが雲南省を自社のコーヒー事業の拠点として乗り出したのを皮切りに、雲南省政府はスターバックスをはじめとする数々のグローバル企業の招致を行いました。中国政府はコーヒー業界における市場規模の拡大を見越して、雲南省におけるコーヒー栽培を支援し、その甲斐もあって雲南省におけるコーヒー事業は凄まじい発展を遂げました。

 

雲南コーヒーの栽培環境

雲南省は、コーヒーベルトに位置していることから、比較的気候が温暖で日照時間が長いのが特徴です。雲南省の省都である昆明は「春城」(春の街)と呼ばれるほどで、夏は涼しく冬は暖かいという理想的な気候になります。また、乾季と雨季があるため、降水量にも恵まれています。山岳地帯であることから900〜2,000mと標高の高い山が多く、昼夜の寒暖差が大きいのもコーヒーにとっては最適な育成条件になります。栽培されている豆は基本的に高品質とされているアラビカ種のものが多く、品質の高いコーヒー栽培が行われています。

 

なぜ今、中国のコーヒー?

中国のコーヒーというと、初めて聞いたという人も多いかもしれませんが、実はコーヒー生産国として有名なコスタリカやケニア、ルワンダを抜いてその生産量は世界15位(2023年度)となっています。また、雲南省で栽培されているコーヒーはスペシャリティーコーヒー市場をターゲットとしたものが多く、小さい規模ながらも品質の高い豆を多く輸出し、世界中から注目を集めています。スペシャリティーコーヒー市場では高評価の豆も多く、年々その知名度は上がってきています。またお茶の茶葉を発酵させる段階で得たノウハウを活かし、独自の精製方法をとっている農家も多く、そのユニークな味と香りに夢中になる人が増えてきています。

 

中国におけるコーヒー市場も拡大傾向

中国では近年、嗜好品としてのコーヒーの人気が急速に上がってきています。特に、上海など都市部ではスペシャリティーコーヒーを提供する専門店が増え、独自のカフェ文化が広まってきています。この背景には、中国の経済成長に伴う生活水準の向上が挙げられます。中国国内におけるコーヒー消費量は他国と比べるとまだまだ少ないものの、2000年以降は毎年増加傾向にあります。

また、雲南省にてコーヒー栽培が発展した背景には、お茶に比べてコーヒーの方が利益率が高いことも挙げられます。コーヒー産業が根付き始めた当初は大量消費向けのいわゆるコモディティーコーヒーがメインでしたが、より価格帯の高いスペシャリティーコーヒー市場をターゲットにした農家が近年では増えてきています。

 

雲南コーヒーはどんな味?

雲南コーヒーは全体的にフルーティーでバランスが良く、飲みやすいものが多いです。ものによっては酸味が感じられることもありますが、シトラスのような爽やかな酸味で、口当たりも滑らかです。しっかりとコクがあるというよりは、軽いボディ感で香りが良く、飲み終わった後もアロマの余韻が感じられます。チョコレートやナッツのような香ばしさもあるため、苦味の強いコーヒーが苦手という人にもおすすめです。

 

雲南コーヒーのおすすめの飲み方

雲南コーヒーは全体的に飲みやすいバランスの取れたコーヒーなので、基本的にはどのような飲み方でも美味しく飲むことができます。ドリップコーヒーやエスプレッソはもちろん、ミルクとの相性も悪くありません。ただし、フレーバーが繊細なものも多いので、できればブラックで飲むのがおすすめです。夏場であれば、よりフルーティーさが楽しめるコールドブリューとも相性が良いです。

 

雲南コーヒーのおすすめの焙煎度合い

雲南コーヒーは、比較的軽い口当たりで繊細なフレーバーを持つものが多いので、華やかな香りを楽しめる浅煎り〜中煎りくらいの焙煎度合いがおすすめです。香ばしいナッツやチョコレートのようなフレーバーに、フルーティーさがプラスされた飲みやすいコーヒーが楽しめます。

 

雲南コーヒーはどこで飲める?

雲南コーヒーを提供しているお店は、日本ではまだあまり多くはありません。しかし、スペシャリティーコーヒーのお店や都内のいくつかのコーヒー専門店などでは目にする機会も増えてきました。また、オンラインであれば雲南コーヒーの豆を簡単に購入することができます。

 

雲南コーヒーで新しい中国のトレンドを感じよう

雲南コーヒーの生産規模は年々拡大しているものの、未だ発展途中のコーヒーとも言えます。小規模農園が多いことから、目新しい精製方法やフレーバーをもつ豆も多いので、もしカフェやお店などで見つけたら、この機会にぜひ試してみてください。