コーヒーの酸味って?美味しい酸味とまずい酸味の違いと理由を徹底解説!

date
2023.05.04

コーヒーの酸味が苦手という人がたまにいますが、コーヒーの酸味は実は一口には語れない複雑なものです。コーヒーが持つ酸味には、美味しい酸味とまずい酸味、言い換えれば良い酸味と悪い酸味が存在しています。コーヒーは嗜好品なので、 […]

コーヒー

コーヒーの酸味が苦手という人がたまにいますが、コーヒーの酸味は実は一口には語れない複雑なものです。コーヒーが持つ酸味には、美味しい酸味とまずい酸味、言い換えれば良い酸味と悪い酸味が存在しています。コーヒーは嗜好品なので、そもそも深煎りのしっかりとしたコーヒーが好きで酸味は絶対にない方が良いという人がいるのも当然ですが、美味しい酸味のあるコーヒーを味わえばもしかしたらコーヒーの酸味に対するイメージが一変するかもしれません。

 

コーヒーの酸味の正体とは?

焙煎前のコーヒー豆には、酸味の成分として良く知られるクエン酸をはじめ、キナ酸やリンゴ酸、リン酸などの酸味成分が含まれています。これらの成分の中でも、特にキナ酸は熱を加えることで一時的に増加し、コーヒーの華やかな酸味を形作ります。コーヒーの酸味というとマイナスイメージを持つ人も多いですが、そもそもこのキナ酸はグレープフルーツやキウイフルーツ、リンゴ、クランベリーなど甘酸っぱさを持つ多くのフルーツに含まれています。これらの酸味成分はコーヒーが持つ甘みの成分と合わさって、コーヒーのフレーバー表現でよく使われる「フルーティーな酸味」を形成します。

 

多くのコーヒーにはフルーティーな酸味がある

浅煎り〜中深煎りまでのコーヒーには多少差はあれど、ある程度の酸味成分が含まれています。これらの酸味は基本的にはフルーツのフレーバーで例えられることが多く、オレンジやレモン、グレープフルーツなどのシトラス系のものから、ストロベリーやブルーベリー、マンゴーやパッションフルーツなどその種類は多岐に渡ります。

共通して言えるのは、きちんと抽出されたものであれば、この酸味に不快感を感じることはなく、コーヒーが持つ他のフレーバー(苦味や甘み、香ばしさなど)ときちんと調和しているということです。例えば、丁寧に用意されたレモンティーやフルーツティーを飲んで、酸味があって不味いと感じることがないように、コーヒーの酸味も基本的には味のアクセントや華やかな香りなど、プラスの要素につながっています。

 

酸味の多いコーヒーと少ないコーヒー

深煎りか浅煎りか

コーヒーには酸味の成分があると言いましたが、酸味のないコーヒーを飲んだことがある!という人もいると思います。もちろん酸味が全くない・ほとんどないコーヒーというのも存在しています。コーヒーの酸味の有無を左右するポイントは2つあります。

 

1. コーヒー豆の品種

コーヒー豆は、その品種や収穫後の精製方法によって酸味の種類や質、強さがかなり異なってきます。しっかりとフルーティーな酸味が感じられるものもあれば、角の取れたまろやかな仕上がりのものもあります。また、品種によってはそもそも酸味成分をほとんど含まないものもあるため、酸味の有無や量は一概には言えません。

また、コーヒー豆の品種は大きく分けるとアラビカ種とロブスタ種の2種類に分類されます。味に複雑性や繊細さがあり、甘みやフルーティーさを備えたアラビカ種に対して、ロブスタ種は苦味やコクが強く、シンプルな味が特徴です。このロブスタ種は元から酸味成分が少なく、苦味やコクの成分を多く含む品種となっています。

 

2. 焙煎度合い

キナ酸に代表されるコーヒーの酸味成分のほとんどは、焙煎の段階で一時的に増加します。そのため、浅煎りのコーヒーは基本的に酸味が際立つ仕上がりとなっています。しかしこれらの酸味成分は焙煎が進むと熱分解され、最終的にはほとんどなくなってしまいます。焙煎が深くなればなるほど、コーヒーの酸味が薄れていくのはこの熱分解が大きく関係しています。そのため、深煎りのコーヒーはあまり酸味がなく、苦味やコクが際立つ仕上がりとなります。

 

嫌な酸味が出る原因

コーヒーには嫌な酸味と美味しい酸味があると書きましたが、コーヒーが嫌な酸味を持ってしまう原因は主に二つあります。

 

1. コーヒー豆の劣化

焙煎されたコーヒー豆は放っておくと、だんだんと酸化していきます。このコーヒーの酸化現象は嫌な酸味を引き出す大きな要因となります。酸化したコーヒーは飲めないことはありませんが、味はかなり落ちており、本来のコーヒーの味やアロマはほとんど感じらません。酸化はコーヒー豆が酸素と触れ合うことで起きるため、豆の状態で保管してあるコーヒーに比べて、挽いて粉にしたコーヒーではより早く酸化が進んでしまいます。基本的には、コーヒーが美味しく飲める期間は焙煎後2週間〜1ヶ月程度といわれています。

 

2. コーヒーの抽出がうまくいっていない

コーヒーの酸味が出てしまうもう一つの要因としては、コーヒーの味や香りの成分がきちんと抽出できていということが挙げられます。コーヒーの抽出が上手くできていない時に考えられるパターンは2つで、コーヒーの成分が抽出しきれていない「未抽出」の状態か、本来は抽出しなくてもいい成分まで抽出してしまう「過抽出」の状態が考えられます。お茶で想像してもらうとわかりやすいかもしれませんが、お湯を入れてからベストなタイミングで茶葉を取り出せば美味しいお茶を飲めますが、それよりも前に茶葉を取り出すと味が薄かったりボケていたりしますし、ずっと漬けっ放しにしてしまうと苦味やえぐみ、渋みが出てしまいます。

コーヒーの成分がお湯に溶け出すスピードは、実は酸味の成分が一番早いといわれており、次に甘みやコク、苦味の成分が抽出されます。そのため、甘みやコク、程よい苦味の成分が抽出されていない未抽出の状態のコーヒーは嫌な酸味があったり、酸味だけが極端に強く感じられバランスの悪いコーヒーに仕上がってしまいます。そういった場合には、コーヒー豆の挽き目を細かくしてみたり、抽出の際の湯量を少なくしてみたりなど、抽出方法を見直す必要があります。

 

コーヒーの酸化を防ぐには

コーヒーの酸化を完全に防ぐ方法はありません。しかし、コーヒーの酸化速度は保存状態によってかなり変わってきます。まず、基本的には「豆のまま」で保存することが重要です。また、できれば密閉容器に入れ、直射日光が当たらない涼しい場所に置くようにしてください。最近では、内部を真空にできる保存用のコンテナなどもありますので、そういったものを活用するのもおすすめです。

 

コーヒーの上質な酸味を味わおう

コーヒーが持つ酸味は、フルーツや上質なワインを思わせるような華やかな香りを演出してくれる欠かせない要素です。もちろん人によって好みはありますので、上質な酸味でも酸味のあるコーヒーは好きじゃないという方もいるかもしれませんが、酸味に苦手意識があるという人は、専門店でちゃんとしたバリスタの淹れたコーヒーを試してみるのも良いかもしれません。コーヒーの奥深さを感じながら、上質なコーヒーの酸味を楽しんでみてください。