コーヒーのデカフェはよく聞きますが、紅茶にもカフェインを除去したデカフェの紅茶があります。デカフェの紅茶は味が劣るのでは?と思う人もいるかもしれませんが、最近は元々の紅茶とほとんど遜色ない、美味しいデカフェ紅茶が多く出ています。様々な理由からカフェインを摂取できない人にはおすすめのアイテムです。
デカフェ紅茶とは
紅茶の茶葉は「チャノキ」という植物の葉です。このチャノキの葉を発酵させて作られるのが紅茶ですが、緑茶、烏龍茶、プーアール茶なども加工方法が違うだけで全て同じこのチャノキの葉が使われています。このチャノキは動物や虫から葉が食べられるのを防ぐために苦味の成分であるカフェインを合成するため、紅茶の茶葉にはカフェインが含まれています。
デカフェ紅茶はこの紅茶の茶葉から、特殊な技術を用いてカフェインを除去したものになります。現在は加工技術も進み、カフェインをほぼ除去することができるようになっていますが、カフェインが完全にゼロになっている訳ではありません。
デカフェとカフェインレス、ノンカフェインの違い
デカフェとカフェインレスはほぼ同義で使われることも多いですが、厳密にはこの二つの間には違いがあります。「デカフェ」はカフェインがあるものからカフェインを取り除いたもので、「カフェインレス」はカフェイン含有量が少ないものをさします。どちらもカフェインの量は限りなく少なくなっていますが、全くのゼロという訳ではないのがポイントです。
一方で、ノンカフェインはカフェインが元から一切含まれていないものをさします。お茶類でいうと、カモミールやローズヒップなどのハーブティーや、麦茶やとうもろこし茶などの穀物茶はカフェインの含まれていないノンカフェインティーになります。
紅茶のカフェイン量はどれくらい?
紅茶に含まれるカフェイン量は、茶葉によって多少差がありますが、基本は30mg / 100mlといわれています。ティーカップ1杯はだいたい150mlなので、カフェイン量は約45mgとなります。カフェインの一日の摂取可能量は体質によりかなり差があるので明確な摂取基準はありませんが、欧米などでは健康な成人では一日に400mgほどが目安といわれています。紅茶の場合はティーカップ8〜9杯ほどになります。
紅茶のカフェイン除去方法
紅茶の茶葉からカフェインを取り除く技術は大きく分けて3種類あります。
・有機溶媒抽出
有機溶媒抽出は、薬品に紅茶の茶葉を直接浸けこんで、カフェインを溶かし出すという方法です。薬品を大量に使用し、安全面の不安があることから、実はすでに有機溶媒抽出で作られたデカフェ製品の使用は、日本では禁止されています。また、薬品を使うことにより茶葉本来の香りや味が損なわれてしまうことも多く、品質の観点からもあまり推奨されていない方法です。
・スイスウォータープロセス
スイスウォータープロセスは、カナダのバンクーバーに拠点を置く、スイスウォーター社による特許技術です。カフェインが水溶性である(水に溶ける)ことに着目した技術で、有機溶媒抽出とは違い、薬品を一切使わず水と特殊なカーボンフィルターを利用してカフェインを除去します。
やり方としては、まず茶葉を水に浸けカフェインを含む全ての可溶性成分を水に溶かし出します。その後、カフェインだけを取り除くことができる特殊なカーボンフィルターを使ってカフェインを除去します。カフェインが除去され、紅茶の香りや味の成分だけが残った水に再び最初の茶葉を漬け込み、紅茶の香りと風味を戻すことでクオリティーの高いデカフェの茶葉が作られます。
・超臨界二酸化炭素抽出
超臨界二酸化炭素抽出は二酸化炭素を使用してカフェインを抜く方法です。物質は基本的に「個体・液体・気体」の3つの状態からなっています。しかし圧力と温度を同時に高めていき、臨界点を超えると物質は気体と液体の両方の性質を兼ね備えた「超臨界状態」になります。
超臨界二酸化炭素抽出では、このようにして臨界点を超え、「超臨界状態」になった二酸化炭素を利用してカフェインを除去していきます。やり方としては、超臨界状態の二酸化炭素と紅茶の茶葉を同じ樽の中に入れ、二酸化炭素にカフェイン成分を染み出させた後、その二酸化炭素を取り除くことでカフェインを除去します。カフェインだけをピンポイントで取り除くことができるため、紅茶の香りや風味はそのまましっかりと残すことができます。スイスウォータープロセス同様、安全面の問題もありません。
デカフェ紅茶は美味しくない?
カフェインを抜いた紅茶の味は、基本的にはさほど変わりがないとされています。これは、カフェイン除去の技術が大幅に進歩し、紅茶本来の味や香りの成分を壊すことなく、カフェインのみを除去できるようになったためです。ただし、カフェインは紅茶の渋みを構成する成分の一つであるため、カフェインを除去した紅茶は普通の紅茶よりも味に丸みを帯びていたり、すっきりとした印象であることがあります。
ノンカフェインのティーもおすすめ
紅茶に使われるチャノキの葉にはカフェインが含まれていますが、元からカフェインを含まないノンカフェインのティーも多くあります。デカフェの紅茶もカフェインの含有量は限りなく低いですが、カフェインアレルギーなどで全くカフェインを摂取することができない場合はノンカフェインのティーもおすすめです。
・ルイボスティー
ノンカフェインのティーの代表格といえばルイボスティーです。ほんのりと赤い茶葉は南アフリカの一部地域でしか栽培されておらず、その厳しい栽培環境ゆえに栄養素が豊富で抗酸化作用のあるポリフェノールがたっぷりと含まれています。現地では健康維持の目的で昔から飲み続けられており、カフェインもないのでお子様でも安心して飲むことができます。
・ハニーブッシュティー
ハニーブッシュティーはハニーブッシュの葉から作られています。ハニーブッシュは葉や枝からはちみつのような甘い香りがすることからその名がつけられました。そのため、ハニーブッシュティーもほんのりと甘い香りがします。ミルクとの相性が良く、そのほんのりと甘い香りで、お砂糖を入れなくても満足できるノンカフェインティーです。
・ハーブティー
ハーブティーにはノンカフェインのものが多くあります。特におすすめで定番のノンカフェインハーブティーは以下の5つです。
- ①カモミールティー
- ②レモングラスティー
- ③ミントティー
- ④ハイビスカスティー
- ⑤ローズヒップティー
一概にハーブティーと言っても、全てのハーブティーがノンカフェインなわけではないので、購入時はきちんと確認してから買うようにしましょう。
お気に入りのデカフェ紅茶でカフェインコントロール
様々な理由でカフェインが摂取できない人はもちろん、カフェインは多少摂取しても大丈夫だけどできるだけ控えたいという人にもデカフェの紅茶はおすすめです。最近では「カフェインコントロール」という言葉があるように、その時々の気分や体調に合わせてノンカフェインやデカフェアイテムを取り入れる人も増えています。特に就寝前や家族で飲むときはデカフェのものがおすすめです。様々なブランドからデカフェのアイテムが出ているので、色々と試してみてぜひお気に入りを見つけてください。