デカフェのコーヒーと一口に言っても、最近は色々なお店でデカフェのコーヒーの取り扱いが増えてきました。また、スペシャリティーコーヒーのお店などでも、こだわりのデカフェを用意していたり、オリジナルのデカフェブレンドがあったりなど、選択肢が増えすぎて逆に選び方がわからないという嬉しい問題が出てくるほどです。今回は、デカフェのコーヒーの味の違いと、その豆の選び方について解説していきます。
デカフェのコーヒーはどんな味?
デカフェのコーヒーといえば、苦いだけで香りも風味もほとんどないコーヒーというようなイメージを持っていた方も多いかと思います。しかし、現在は水や二酸化炭素だけを使った薬品フリーで安全なカフェイン除去方法が開発され、コーヒー豆が持つ本来のアロマや味をきちんと残したまま、カフェインだけを除去できるようになりました。そのためしっかりと香りと味わいを楽しめるデカフェのコーヒーが増えてきています。
しかし、デカフェのコーヒーの味が普通のコーヒーとほぼ遜色ないといっても、全く同じという訳では決してありません。その理由は、カフェインはコーヒーの苦味を構成する成分の一つだからです。そのため、デカフェのコーヒーは本来のコーヒーに比べて少しだけ角の取れた、マイルドな印象の仕上がりのものが多いです。しっかりと苦味とコクがあるコーヒーが好き、という人はもしかしたら少し物足りないかもしれませんが、逆にしっかりめのコーヒーは苦手という人にはデカフェの方が飲みやすく感じる場合もあります。
デカフェのコーヒー豆の選び方
カフェイン除去技術の向上により、デカフェの豆の風味や味は基本的に普通のコーヒー豆と遜色ないものが多くなってきました。そのため、デカフェのお豆を選ぶ際も、基本的には普通のコーヒー豆を選ぶ時と同じような基準で選んでいただいて大丈夫です。
・ブレンドかシングルかで選ぶ
- ブレンド:数種類の豆を組み合わせたもの
- シングル:1種類の豆のみで販売しているもの(ストレート、シングルオリジンと呼ばれることもあります)
コーヒー豆には、数種類の豆を混ぜ合わせ、特定のフレーバーやコンセプトに合わせて作り出された「ブレンド」と、その豆が持つ本来の味や産地の特徴を活かした「シングル(シングルオリジン)」の2つの種類があります。どちらの方がおすすめということはありませんが、ブレンドは基本的に一定の味や特定のフレーバーを表現するために細かく豆の割合や焙煎度合いを調整し、常に決まった味のものが出来上がるようにしています。いわゆる「いつもの味」を常に楽しめる安心感があります。
一方でシングルは、少量生産のものや、その時々の旬の豆を使用していることが多いため、一期一会的な側面もあります。「コーヒーは果実」といわれることもあるように、コーヒーにもいわゆる旬の時期というものがあります。そのため、その豆が持つ本来の味を引き出せるよう焙煎の度合いや抽出の仕方なども細かく調整され、皆様の元へ届けられています。その豆が持つ本来の味をしっかりと味わうことができるため、色々な味の違いを楽しむという意味では、シングルのお豆の飲み比べなどもおすすめです。
・産地で選ぶ
コーヒーは産地によってある程度、味の傾向や特徴があります。一方で同じ産地でも、品種や収穫後の精製方法によって全く違う味のコーヒーが出来上がることもあります。あくまでも参考程度ですが、ざっくりとした味のイメージを覚えておくだけでも、選ぶときの参考になるかもしれません。
アジア(インドネシア、タイ、ベトナムなど):
アジア諸国が原産の豆は、深みのあるコクとしっかりとした苦味、そしてナッツのような香ばしさが特徴です。ダークチョコレートやカカオなどに例えられるようなパンチがあり、酸味が控えめなものが多いです。
アフリカ(エチオピア、ケニア、ルワンダ、ウガンダなど):
香り高くフルーティーさが特徴の豆が多いです。甘さもしっかりあり、ガツンとした苦味やコクというよりは、華やかで飲みやすいものが多い印象です。酸味のあるコーヒーも多く、シトラスやパッションフルーツなど甘酸っぱさのあるフレーバーで説明される傾向にあります。
中米(コスタリカ、コロンビア、メキシコ、ホンジュラスなど):
アフリカ産の豆同様に、芳醇なアロマとしっかりとした甘みがある豆が多いです。苦味は控えめで、軽いボディー感のものも多く、独特なフルーツ感を楽しめます。
南米(ブラジル、ペルーなど):
フルーティーさを残しつつも、比較的しっかりとしたコクやチョコレート感があるものが多いです。甘さや香ばしさもあるのでバランスが良く飲みやすい印象があります。
・焙煎度合いで選ぶ
コーヒーの焙煎の度合いは、厳密には一番浅煎りのライトローストからしっかりとした深煎りのイタリアンローストまで、全部で8段階に分けられます。まずは基本の3種類「深煎り・中煎り・浅煎り」の味の違いを把握しておきましょう。
深煎り:
深煎りの豆の特徴は、しっかりとした苦味と深いコクです。酸味はほとんどなく、ミルクとの相性も抜群で、ミルクを入れてもなおしっかりとコーヒーの強い香りを楽しむことができます。パンチのあるコーヒーが好きな人や、酸味が苦手な人は深煎りのコーヒーがおすすめです。特にデカフェのコーヒーはカフェインが入っていない分、キレにかけるところがあるので、しっかりとしたコーヒーが好きな人は深煎りのデカフェを選ぶようにしましょう。
中煎り:
もっともバランスが良く、メジャーな焙煎度合いになります。豆本来が持つ華やかな香りは残しつつも、コーヒーのコクや香ばしさを引き出せているのが中煎りです。ミルクチョコレートやナッツのような香ばしさとコク、滑らかさを併せ持っています。ミルクをたっぷり入れたい場合は、中煎りから深煎りの豆がおすすめです。また、初めて自分で豆を買ってみる、という人もまずは中煎りくらいから初めてみましょう。そこからもっとコクや苦味がほしいと場合は深煎りを、もっとフルーティーさを味わいたいと思えば浅煎りを試して、自分の好みを探っていくのがおすすめです。
浅煎り:
豆が本来持っている繊細な香りやフレーバーを分かりやすく引き出せる焙煎になります。フルーティーでさっぱりとした口当たりのものが多く、心地よい酸味が楽しめます。逆に、深煎りに比べて苦味は控えめで、ものによっては紅茶のような軽さがあるものもあります。フルーティーなコーヒーが好きな人には、断然浅煎りの豆がおすすめです。
分からなかったら、お店の人に相談しよう
色々と書いてきましたが、まずは良くわからないなと思ったらお店の人に自分の好みを伝えて選んでもらうのもおすすめです。好みの伝え方は特に決まった形はなく、「酸味が少ないものがいい」「ミルクを淹れて飲みたい」「変わったやつを試したい」「フルーティーなものがいい」などどんな形でも大丈夫です。まずはプロの手を借りつつ色々と試して、ぜひお好みのデカフェを見つけてみてください。